球春。「がんばろう!日本」の旗印の下、選抜高校野球大会が開催されている。
それもあって本日本屋で見かけた、
『エンジョイ・ベースボール~慶応義塾高校野球部の挑戦~』(上田誠著、NHK出版)
という書籍を購入。
なかなか面白い。
慶應義塾大学といえば、国内だけでなく、海外で活躍する人材供給源である。
その中で高校生活の重点のひとつとして(当然にもうひとつは勉学だが)、
野球を選んだ高校生を、著者がどう教えてきたかという点に興味を覚えたのである。
野球留学こそが、現在の高校野球では甲子園出場の唯一の手段となりつつある中、
大学付属の高校であるからこそ、選手が日々の練習をいかにしていくかを
工夫してきたことがよくわかる。
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そのなかに”部訓”という項目がある。
単なる標語に陥りがちな、この項目は一見のもと、一考の価値があると思う。
以下にいくつか記述。
「・日本一になろう。日本一になりたいと思わないものはなれない。
・Enjoy Baseball(スポーツは明るいもの、楽しいもの)
・礼儀正しくあれ。どんな人に対しても、どんな場にあっても、通用するのは人間性。
一人一人の人間性が慶応義塾の評価を決める。挨拶は人との最初の勝負。
・自分一人で生きていると思うな。自分一人で野球をやっていると思うな。
周りの者に感謝の気持ちを持て。感謝の気持ちは『ありがとう』。
世の中にそれほど以心伝心はない。言葉は使ってはじめて活きる。
~中略~
・他人の悪口を言うものの周りにはいつも悪口ばかり言っている者が集まる。
自分の不運を嘆くものの周りにはいつも同じ類が集まる。
結果とは関係なく自分のやっている事にプライドを持て。
君は誇り高き我慶応義塾の同士だ。
~中略~
・理論武装せよ。君達は将来の指導者だ。子供たちに正しいことを教えるために、
ルール、技術論、フォーメーション、勝負哲学、体の構造、医学知識、栄養学、
運動力学を知れ。慶応義塾は『心・技・体・学・伝』。
~中略~
・自分がどんなに頑張っててもダメという相手でも、絶対に負けるのを嫌え。
勝ち負けの勝負にはとことんこだわれ。負けても淡々としている奴は勝てない。
早すぎるんだよ切り替えが。30対0で負けていても逆転すれば世間は
それを奇跡というんだ。」
(上述著、p.75~78)
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全部書くと、たぶん出版社の人は嫌がるのでこれくらいで(にやり)。
逆にこれに興味を持った人は部訓の20項目、なかなかに味わい深いと思う。
とはいえ、こんなことを高校生が全てでなくとも、理解できているからこそ
部としての、チームとしての力が蓄えられていき、強豪ひしめく神奈川予選を
突破して来たのだと思う。
”心・技・体”はよく聞く言葉だが、うちの部員には、
大学生だからこそ”心・技・体・学・伝”を実践してほしい。
by 悪口ばっかり言っている、かんとく