『リディアード』について byかんとく

先般、「ランナーズ」という雑誌のことを書いたが、

そのときに特集されていた書物に興味を持ったので、読んでみた。

黒木亮著『冬の喝采』(講談社)である。

著者は、マラソンで有名な瀬古選手と早稲田大学で同級生。

指導者である中村清や瀬古との交友を交えつつ、自身も走った箱根駅伝が

物語の中心である。

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面白いと思ったエピソードを3つあげる。

1.中村清という指導者。今で言うならば「キャラが立ちすぎ」ており、

おそらく現代の学生にはこっぴどく嫌われるキャラクターであったろう。

が、文中からもにじみ出てくるほどの、陸上、特に長距離に対する情熱が

只者でない。

2.試合に向けての長距離選手における体調、体調管理が文中よく出てくる。

たった1kgベストの体重から多いだけで、1kmで3秒くらいの差が出る(らしい)。

箱根駅伝の区間のほとんどが20km強と考えれば、それだけで1分差が出る。

(上述著書上巻、p.364参照)

また、体は成長するものであり、前期のベスト体重が今期のベスト体重であると

必ずしもいえず、そのことは自身の身体と対話し続けていなければ

間違った体重で走ることとなり、脱水症状を引き起こしたり、筋肉の回復が

ままならなかったり、といったことがよくわかる。

3.リディアード(トレーニング)方式。

これについては引用する。

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「リディアード方式は、ニュージーランドのコーチ、アーサー・リディアードが

開発した練習方法である。距離は時間に変化を持たせながら、

七割から十割の力で有酸素ランニング(息切れしない状態で走ること)を続け、

心臓を肥大させ、全身の血管網を発達させて、酸素吸収能力を高めることを

狙いにしている。毎日休まず走り、走りながら疲れを取る『積極的休養日』を設け、

インターバル・トレーニングのような無酸素ランニングは、シーズン前に

スピードを研ぎ澄ますため補助的に使う。一九六〇年のローマ五輪で、

リディアードの教え子であるピーター・スネルが八〇〇メートルで金メダル、

マレー・ハルバーグが五〇〇〇メートルで金メダル、バリー・マギーが

マラソンで銅メダルを獲得するという、目覚しい成果を挙げた。」

(上述著書上巻、p.268)

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ワタクシが、走れ走れというのはそういう意味もある。

LSDペースでいいから毎日走っていると、足腰の毛細血管が拡張されて

”第二の心臓”として機能し始める。

そりゃあボクシングというのは、タイムを競う競技ではないので

その走ることがイコール勝ち星につながるとは必ずしもいえない。

が、より多くの酸素が脳に送られることは、いつも通りの判断ができる。

瞬間的な判断を迷う可能性が低くなる。

逆に言えば低酸素で判断を強いられれば、いつも通りの判断ができず、

本来はそんなディフェンス方法をとらないはずでも、誤った方法を選択しやすくなる。

と同時に、筋力に送られる酸素も少ないわけであるから、ガードができるはずのモノでも、

腕が上がらず回避しきれない可能性を高める。

だからハーフをやるのであるが、選手は”瀬古の海”状態になってないだろうね?

(わからなければ、ウィキペディアを参照しはなれ)

by かんとく

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