『美食倶楽部』について byかんとく

今までの人生の中で、一番美味かったものはなんだろうか。

上等な油で揚げられた天ぷら、高級和牛のステーキ、新鮮な魚の造りか。

あるいは技術の高い職人に作られたスィーツか。

そういえば、ボクシング部のOBで試合後にたらふくスィーツを食ったという人間は

一人や二人ではなかろう。(この場合のたらふくは、一般女子がカロリーを気にして

5個食べた、明日から大変!というレベルではない。

大体10個は食う。そのあとに本来3,4人で食べるくらいの2000円の

巨大パフェを完食したという輩もいる。)

金銭的にも恵まれた国であり、四方を海に囲まれている日本では

それこそどんな食材も手に入る。

・・・・・

ワタクシ自身も、旧フライ(51kgだな)で試合に出るときには減量が終わったら、

まず食べると決めていたものがある。

某弁当屋チェーンの”から揚げスペシャル”は、他の何をおいても

食いたいと思うものであった。

たった550円で1400kcalであるものを、60円プラスして大盛りにし

コーラの1.5Lを買い、プッチンプリンbigを当然に15分くらいで完食していた。

カロリーがほしかったのである。

試合1ヶ月前から1週間前まで1日1400kcalですごし、

それでも落ちてなければ1000kcalくらいまで落としていた。

練習前に500kcal摂って練習してプロテイン飲んで、

練習後に走ったり、ロープ跳んだりして、プロテイン飲んで、

晩に食べるものといえばプロテインと、おでんのこんにゃくと豆腐とか。

そりゃあまあ、何をおいてもから揚げスペシャルが食いたかったのである。

桃色動画よりから揚げスペシャルであった(にやり)。

・・・・・

まあ今は別にから揚げスペシャルなぞ食いたくもない。

大盛りなぞせずとも、から揚げ弁当にエビフライがトッピングされた

から揚げスペシャルなぞいらん。

から揚げ弁当で十分である。

何の話や。

・・・・・

という前置きは横に置き。

先般読んだ漫画、森恒二著『自殺島』(白泉社)

日本が舞台であるのだが、『イキガミ』(間瀬元朗著、小学館)と同じく、

「現代の抱える問題に対して、もし政府がこんなお触れを出したら」系漫画。

自殺未遂を繰り返す人間に対して、政府がとある過激な政策を実行する。

”生きる気がないやつは、無人島に放置プレイ”ということである。

(問題に対して、何の解決を図る行動を起こせない今の政府は

逆に何かを感じ取ってほしいくらいなのだが)

・・・・・

主人公のセイは、島に送られるまで何の希望も見出せなかった青年。

その結果自殺未遂を繰り返していたのだが、

行き先を失った人間が集まられる自殺島に送られることに。

行き先、未来が見えない人間たちによって、無法島となりかける。

その中でセイは島で、”ただ生きるために生きている”動物を見つけ、

よくわからないながらも、”狩り”をしなければならないことに気づく。

狩って捕った動物を食したとき、なんとも一言では

表現しきれない感情を持つことになる。

その感情とともに「こんなにも肉がうまいなんて」という衝撃をうけるのだが。

・・・・・

まあ、詳細は買って読んでみてください。現在4巻まで出てますわ。

さて、表題の件に戻る。

今までの人生で、一番うまかったもの。

私の場合は単純にやっぱり”水”である。

何の混じりけもない、ただの水道水がこれほどうまいと思ったことは

後にも先にも学生時代の、ボクシングをしていたあのときだけだった。

飲んだ水が胃に入り、細胞に届く感覚というものを感じ取れるそのとき。

それは最高に癒される時間であった。

普段目の前にある、ただの水道水、つまり真水。

古来の人間であれば、そのために努力を得なければ得られないものが

巷にあふれ、手軽に手に入れられる世の中。

だから何すかね、体を動かさずに得られるものというものは

結局幸せを得られないんでしょうな。

by かんとく

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