どうも最近眠いのである。
なぜかしらと考えてみる。
眠くなったのと、最近食べる量が増えたのが同時期であることに気づく。
そう、禁煙効果である。
年齢にそぐわないほどもりもりと食べ、よく眠るわけである。
そりゃあ腹回りはマラドーナ。
というわけで、何かしら運動をはじめなければならぬ。
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そんなことを思いながら、本日も帰宅途中の電車内で本を読む。
平山譲著『魂の箱』(幻冬舎)
中部地方初の世界チャンピオンとなった畑中清詞氏のその後と
彼のジムで育ったボクサーの話。
面白かった部分を引用する。
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「勝ちつづける畑中は、所属する松田ジムの後輩ボクサー村田隆に、
よく語って聞かせた。
『ロードワークなんちゅうのは、一時間だけのことよ。
ジムワークも、三時間だけのことよ。
一日二十四時間のうち、二十時間を、いかに生活するかで、勝負は決まるんよ。
俺は、いつでも、世界チャンピオンになることを考えとるんよ』
彼は、笑いもせずにつけくわえた。
『俺は、便所にいるときも、世界チャンピオンになることを考えとるんよ』
のちに日本フェザー級一位になる畑中より二歳年下の村田は、
先輩の言葉が偽りでないことを知っていた。
ある日、ジムの練習生幾人かと朝まで酒を飲んだことがあり、
畑中も朝までつきあってくれた。
『俺、走って帰るわ』
日が昇ると、突然畑中は店を出た。三百六十五日ロードワークを
欠かさないという自分への誓いを立てていることを、村田は知った。
その日の午後、ジムでは田中の姿を見ると、膝や肘が血だらけだった。
『酔っぱって走るもんやないな、転んでまったわ』
そういって笑う畑中を見て、この人ならほんとうに世界チャンピオンに
なるかもしれないと村田は思った。」
(同著、p.20~21)
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ボクシングをやっているから、朝走らないといけない。
だから酔っ払っていても走る、という奴がいたならば、
ワタクシはその姿を見て、あるいはその話を聞いて、間違いなくニヤリと笑う。
アホだと思う。
ボクシングにおいて大切なランニングの意味は、そこではないと教えるだろう。
だが、そうやって走っている人間を”ポイントを抑えてない”という人間がいたならば
ワタクシはその相手に向かっていうだろう。
「たとえ、貴様がパッキャオを超える才能を持っていたとしても、
ワタクシは貴様に教えることはない。
なぜならば、ワタクシがボクシングにおいて一番大切なものだとおもっている物を
持っていないからである」と。
何だと思う?
誰でも持っている。でも誰でもそれをあきらめるものである。
by かんとく