先般紹介した外山滋比古著『思考の整理学』が
初版の発行から23年間で100万冊を突破したらしい。
23年前の書だが、著者はPCの記憶能力とそのデータベースに対して
我々はどういう考えを持ち、行動していくか、そのためにどのような技術が必要か、
非常に分かりやすい文章で記述している。
文庫で値段は知れているんだし、大学生の諸君は是非とも座右の書としてホシイ。
ワタクシの場合は、3回生のゼミにて教授に思考の方法を教わったが、
それ以前に知っておけば、当然役に立っていたであろう。
ボクシングに応用しておけば、国体出場もできたかもしれない。
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さて、昨日夜勤であったので業務合間の休憩時と、
終了後の仮眠室にて読書に勤しむ。読書の秋。
その1冊がたかのてるこ著『淀川でバタフライ』(講談社)。
電話会社のCMに出ている某女優が主演で、
ドラマにもなった『ガンジス川でバタフライ』の著者でもある。
『淀川~』はあまりにも阿呆な学生時代の話。
だが、エネルギーにあふれていたからこそ、出来たであろう諸行の数々。
高校生の頃、香港映画のスター、ユン=ピョウが著者の地元の
大阪のTV番組に出演すると知り、TV局に電話、担当者を説得して
本来関係者以外は入れないスタジオに乗り込む。
その成功体験の影響からか、文化祭にエネルギーを注がない高校文化にもかかわらず、
「映画を撮る」という提案をし、「見所がなければならん」と
淀川に飛び込むシーンを撮るため、自分がまず飛び込んでみる。
若者の暴走、恐るべし。
その暴走の結果の映画も大受けしたようである。(本人の記述だからしらんが)
さらに恐ろしいのは、そういう若者は長じて変わるかというと、そうではないらしい。
変わるどころか、成功体験は後日、自分の無意識に働くものらしく、
長じて大学生になったら、『ガンジス川でバタフライ』をしてしまう。
だがそういうエネルギーがあるから、映画会社という狭き門を突破できたのであろう。
恐るべし。
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同日、茂木健一郎著『笑う脳』も読んだ。
面白かった落語家の春風亭昇太氏との対談部分を下記に引用。
茂=茂木健一郎氏、昇=春風亭昇太氏、
「昇 初演は古典でも新作でも、妙な緊張感と集中力があるので、
たいがいはウケるんですよ。ただ、ダメなのが二回目。
気迫が入った一回目に比べてウケないことが多い。
だからネタをかけるときは二回目が一番難しいって言われてますよ。
茂 僕、脳の研究をしている中で、アウェイ戦がものすごく大事だと主張しているんです。
つまり、脳には一生かけても引き出すことのできない能力が潜んでいて、
それを少しでも引き出すためには、アウェイ戦が大事だと。
慣れ親しんだホームグラウンドだけで戦うと、どうしても脳の働きにも
変化がなく固定化してしまうんですよ。
それがアウェイ戦では、新しい環境に応じようと、今まで使っていなかった
脳の部位が活性化される。つまり脳の神経系の再編成が活発になるんです。
だから、新ネタを高座にかけることは、一種のアウェイ戦に
匹敵すると思うんですよね。
昇 そういう意味では、僕にとって一番のホームは独演会ですね。
僕の落語を聴きたい人しか集まっていないわけだから、ウケないなんてことは
ありえないんですよ。その点、寄席はアウェイですね。
まだ二つ目ぐらいで、僕の落語を聴きに来ていない大半のお客さんを
ゲラゲラ笑わせるのがおもしろくてしょうがなかったんですよ。
すごい快感でしたけどね。落語は基本的に目の前のお客さんに合わせる芸能だから、
様子を見ながらやり方を変えていくんですが、アウェイ戦の場合は、
すり寄っていくか、突き放してアウトボクシングしていくかどっちかなんです。
中途半端な距離が一番パンチが当たらない。」
(同著p59~61)
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こういう二冊を何気に選んで買ったわけだが、結果として思いもよらないところで
結びついたりするから面白い。
たかのてるこ氏は、自身のエネルギー過多のおかげで無意識にアウェイ戦に迷い込み、
自身に全く接点のなかった人に、いきなり電話して説得してしまう経験や
淀川に飛び込むという、知り合いに誰も経験したことのない行動といった所業を通して、
高校時に、見事に成功体験を得てしまった。
さらに大学、社会人と、アホの王道を突き進んでいる模様。すばらしい。(ニヤリ)
これは”アウェイ戦で活性化した脳”が、さらなる”アハ体験”を求めた結果と言える。
同じ道場で何度も繰り返し練習するのは大切なことだが、
そのうちに集中力を欠いていることはないだろうか。
「ああいうボクシングをしてみたい!」とか「あー、ああいう風にやればいいのか!」
といった刺激があれば、そのための行動は反復できるはずだ。
さて、我らのアウェイは一体どこにあると思いますか?
400字詰め原稿用紙5枚でまとめてみよう。
by『笑う脳』の中に内田樹氏が出ており、ブログについての記述があったので
すぐに調べて読んでしまっている、かんとく